上杉周作

さよならを待つふたりのために。こんなに素敵な本は10年ぶりに読んだ

さよならを待つふたりのために」というヤングアダルト小説を読んだ。

素敵だった。

26年間、小説をほとんど読まないで生きてきたわたしにとって、タイトルの「10年ぶり」は「数冊ぶり」の釣り仕様である。とはいえ、はじめの数十ページで挫折してしまった小説は山ほどあるから、完読させてもらった「さよならを~」は、それだけで特別な本だった。ちなみに、約10年前に読んで感動したのは、「君のためなら千回でも」という本で、こちらも名著である。

あらすじと内容

原題は”The Fault in Our Stars“、著者はJohn Green氏である。

ヘイゼルは16歳。甲状腺がんが肺に転移して、酸素ボンベが手放せないまま、もう三年も闘病をつづけている。骨肉腫で片足を失った少年オーガスタスと出会い、互いにひかれあうが……。生きて人を愛することのおかしみや喜びをまっすぐに描き、死をみつめながら日々を送る若者の生々しい感情をとらえた、傑作青春小説。 (Amazon.co.jp)

あらすじだけ読むと、この本には

  1. 恋愛
  2. 感動
  3. 青春
  4. 悲劇

が待ち受けているかのようだ。だけど、それはせいぜい2割くらいで、残りの8割は

  1. わたしは何も成し遂げないまま死ぬだろう。それでいいのか。
  2. わたしは生きているだけで親しい人を傷つける。それでいいのか。
  3. わたしが死んだあと、家族が不幸になるだろう。それでいいのか。
  4. わたしが死んだあと、皆がわたしのことを忘れるだろう。それでいいのか。

といった、癌を患う16歳の主人公・ヘイゼルが直面する4つの葛藤で埋め尽くされていた。

この4つの問いが響いたのは、健康なわたしだって、程度の差はあれど同じことを悩むからだ。いつかわたしも死を前にして、ヘイゼルと同じレベルで葛藤する日が来るに違いないからだ。

そしてこの本が素晴らしいのは、非凡な洞察力と、その非凡さを覆い隠す文章力を持った著者が、張り巡らせた伏線をたくみに回収しながら、この4つの問い全てに説得力のある答えを用意したからだ。

どれも綺麗事ではない、見事な答えだった。

もちろん、この本は単純にエンターテイメントしても面白かった。アメリカの多くの州では16歳で運転免許が取れることもあり、郊外に住む登場人物たちが友達の家に運転して行くシーンが多いのだが、東海岸で育ったわたしも10年前は同じことをしていたなあ、歩いて友達の家になんか行けなかったなあ、と懐かしく思えた。

アメリカでの評価

「さよならを待つふたりのために」は米アマゾン上で1万以上の人にレビューされ、なんと平均5つ星の評価を得ている。4.5ではなく、5である。

また、出版された2012年には、TIME誌が選ぶ小説ランキング第一位に選ばれたようだ。

今年の6月には映画化もされる。わたしが4年間住んだPittsburghで撮影が行われたようだ。


Amazon.co.jpリンク

ぜひ読んで感想を聞かせてほしい。

Amazon.co.jp: さよならを待つふたりのために

(追記) わたしはオーディオブック(英語)でこの本を読んだ。声優・Kate Ruddさんの演技はもはや完璧で、とくに主人公達が”OK”と言い合うシーンには魅了された。

オーディオCD: The Fault in Our Stars

英語もそこまで難しくないので、Kindle版を読んでみてもいいかもしれない。

Kindle版: The Fault in Our Stars